個人起業家にとって一番大事な経営資源は時間。
なので、自分の時間をできるだけ使わずに自分のことを宣伝してくれる、つまり自分をブランディングしてくれる便利なツールがあったら最高じゃないですか。実はそれが口コミ(リアルな紹介のバケツリレーという意味で使っています)なんです。今日は口コミのメカニズム、どんな口コミがあなたにとって効果的なのか、価値ある口コミとはについてお伝えしていきます。
個人起業家のブランディングの基本は口コミ
組織を離れて(あるいは元々組織に属していなかった人でも)ビジネスをする場合、最初にぶち当たる悩みが集客だと言われています。
例えば、サラリーマンだった人。会社を辞めて独立しますよね。独立直後はサラリーマン時代に培った人脈によって「ご祝儀発注」のようなものが結構あるのです。なので、最初は大忙しになります。
しかし、その「ご祝儀」が一回りすると急に暇になります。そこからが本格的な集客活動が始まり。場合によっては集客の悩みや不安がずっと続くことになる。これが多くの独立した起業家の実態です。もちろん、サラリーマン経験のない方は「ご祝儀」がないので、いきなり集客問題が渦巻く世界に突き落とされるわけですが。
3つの集客方法
通常、集客活動の方法は3つあると言われています。3つとは以下の方法です。
- SNSなどの無料ツールを使う
- FB広告などの有料ツールを使う
- 口コミなど紹介を期待する
1. SNSなどの無料ツールを使う
これは個人起業家のブランディング方法の王道中の王道。なので、ここでご説明する必要はないと思います。が、ざっくり言っておくとこんな流れになります。
SNSの中でも特に拡散機能の高いメディアを選択してコンテンツを投稿。興味・関心を引いた後はプッシュ型のメディアであるメルマガやLINEなどに登録させて、そこで自分や自分の商品の価値について伝達していきます。そして、フロントエンドと呼ばれる商品を無料または安い金額と言った「購入ハードルの低い」形で提供。フロントエンド体験中に本命商品であるバックエンドと呼ばれている高額商品を案内、そしてクロージング。
これがSNSを使った商品購入までの、本当にざっくりとした、流れです。
2. FB広告などの有料ツールを使う
FBなどの有料の広告になると、リーチしたいターゲットを狙い撃ちしていくことになります。なので、リスト(メルマガやLINEなどプッシュ型メディアへの登録)が比較的短期間で集まりやすいという特徴があります。
リスト獲得後の流れはSNSの流れと同様です。
3. 口コミなど紹介を期待する
一方、口コミ(特にここではリアルな紹介により自分のことが宣伝されていく仕組み)は上記2つと違い「受動的」しかし「強い説得力」を持ちます。
「受動的」とは何か。ある人が何かの専門家を探している。その際、特定の誰かに対して、または雑談の中の誰かを特定せず「〇〇できる人探してるんですよ」という呟きや「〇〇できる人知りませんか?」という問いからスタートします。なので、SNSの投稿からスタートする無料ツールでの集客活動やFBなどの広告を使った能動的な集客活動に比べると、口コミのスタートは極めて「受動的」なのです。
「強い説得力」とは何か。悩みやニーズが顕在化しているのは購買意欲の高い見込み客です。その人が相談した「そこそこ信用している人」から出てきた「〇〇さんだったらいいんじゃないでしょうか」というあなたの名前。これは自画自賛しているSNSやFB広告とは比べものにならないほど「人を動かす」説得力があるわけです。
こんなに凄い口コミ。自分をブランディングしていく上で、ちゃんと戦略的に使わない手はないですよね。なので認知が低い、つまり、最初はそんなに知られていない個人起業家にとって口コミは基本のツールなのです。
口コミは他の2つと並列のようで並列ではない
口コミ、つまり人からのリアルな紹介は成約までのステップが短くプロセスがシンプル。なので、プロジェクト終了までの時間が短いのです。それの何がいいのかと言うと「お客さまの声」が早く取れることです。
「お客さまの声」はその後の集客を加速させます。早めに蓄積した「お客さまの声」をSNSや広告から誘導するランディングページに掲載することで信用力が高まり成約率アップにつながります。
その意味で口コミは3つの集客方法の一つではありますが、早めの成約を可能にし、早い段階で「お客さまの声」が取れるという意味では、他の2つとの並列で語れない貴重さがあるのです。
どうやって口コミを広げるか
口コミを効果的に広げるポイントは3つあります。人・SOW・ストーリーです。これだと分からないと思うので一つずつ説明していきますね。
人(コネクター)
紹介は「人(誰から)」と「内容(何を)」で構成させています。そして「誰から」は「何を」より強いと言われています。会社組織のようなところでも情報が流通した場合「おい、それ誰が言ったんだ?」って発信元を聞かれますよね。それくらい「誰から」というのは重要。特に会社組織などでは「肩書き」と影響力には相関関係があります。
しかし、世間での口コミ(紹介)の影響力は単なる肩書きとはちょっと違います。人が「〇〇できる人いませんかね?」と聞く相手は多くの場合「顔が広い人」です。名著『急に売れ始めるにはワケがある』(マルコム・グラッドウェル)でも口コミ3要素の一つとして「人」の要素は挙げています。そして、中でも大きな役割を果たす人として顔が広い人を「コネクター」と呼んでいます。
例えば、身近な話題で言うと、アメリカに進出してくる企業がまずやるのは、会社設立やそれに伴う会計システムの整備。となると、ほとんどの会社はまず弁護士、会計士との接点をもつわけです。となると、弁護士、会計士は顔が広い人、つまり「コネクター」になり得るわけです。なので、企業が実際に商売をスタートする段階になってマーケティングに詳しい人と知り合いたい場合、弁護士、会計士に相談することはよくあることです。実際、私もそういった方々からの紹介がかなり多いのです。
なので、コネクターとなり得る人に情報を与えておくこと。これがまずは大切なことになります。
SOW
では、どんな情報をコネクターの人たちに与えておけばいいのか。
与える情報はひとことで言うとSOW。SOWとはScope of Workの略。つまり仕事の領域のこと。「〇〇をやっている人」これだけです。
ライバルとの差別化や優位性を示すためにコンセプトやポジショニング、キャッチフレーズなどがありますが、それとは違いSOWはもっと広い・ざっくりとしたものです。
例えば、ヨガの先生をやっているとしますよね。SNSや広告での集客を考えると単に「ヨガ教えてます」では反応ないですよね。こういう場合にはちゃんとコンセプトやポジショニングを考えて「30代主婦でちょっと健康に自信のない初心者向けヨガ」など、しっかりターゲットや売りを絞り込まないと「あ!これ私のためだ!」と思いません、つまり集客には結びつかないのです。でも、SOWの場合、単に「ヨガの先生」でいいんです。
ということで口コミ用としてコネクターに渡しておく情報は、この例で言うと単に「ヨガの先生」というSOWだけでいいんです。
ストーリー
ストーリーとは相談してきた人に対してコネクターの人がSOWと共に言うあなたに関して言う小話的なもの。「〇〇さんはこんな経緯で今の仕事を始めた方で〇〇が特徴みたいですよ。先日こんなことがあったって言ってましたよ」という程度でオッケー。
これがあるのとないのとでは、見込み客があなたに連絡してくる可能性が全然違います。SOW以外にあなたをイメージできるちょっとした情報、これがストーリーです。
ストーリーはなぜ有効かというと2つあります。
- あなたをイメージしやすいから
- コネクターとなっている人との関係性が近いと感じさせるから
コネクターとなる人はそこそこの影響力のある人。その人がちょっとしたあなたの周辺ストーリーを知っているということは、あなたのことを「単に知っている」から一歩近いところに位置することを意味します。ちょっとしたエンドース(推薦)する意味合いも出てくるのです。
なので、ストーリー、ちょっとした小ネタを用意しておくといいでしょう。
価値ある口コミってどんなものか
マーケティングをやってる人ならきっと誰もが知っている古典『影響力の武器』
そこに書かれているのは、コントラスト効果、社会的証明、コミットメントと一貫性、希少性、権威、好意、返報性。この7つの影響力の中でも、社会的証明の要素がコネクターの人の口から添えられたら相当価値ある口コミになります。この場合の社会的証明は「みなさんサービスに満足されているようですよ」の一言になります。
まとめ
信用力があり顔が広いコネクターを介して、あなたのSOW(やっている領域)について、若干のストーリーを交えながら紹介してくれる、そんなリアルの口コミは短期的な収益に大きく貢献してくれることは疑いようのないこと。
そしてさらに、自分の価値が人に伝わり「〇〇と言えば」と言った時にあなたの名前が一番に挙がることを目指す個人起業家のブランディングという意味でも極めて大切なことなのです。
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ではまた
あかばねマコト
参考記事
【WHYから始めるブランディング】