どんなお店に入ってもどんなサービスを提供されても「この人プロだな」と感心させられる人がいます。一方、なんの印象も残さない人や店、あるいは「こんなんでよくやってけるな」と逆の意味で感心させられる人もいます。
今日はプロとはなにか、本当のプロとして生きていくにはというお話をシェアします。
1 プロとして生きていくには
プロとは自分の活動を価値に変え、そして、それをお金に換える人です。お金の換え方はいろいろあります。最初無料にしておいて後で徴収する方法もあるし、比較的低価格で長期間に亘って課金し続ける仕組みもあります。また自分の活動の価値を直接的にお金には換えない方法もあります。多くの人に喜んでもらうことで人を集め、人が集まっていることに価値を感じてお金を出す会社に課金する広告収入的なものです。なので、お金の換え方については多種多様です。しかし、お金を取る以上、あなたはプロであり、プロである以上、その道で「覚悟」を決めて生きていかなければなりません。まず最初に「覚悟」ありきなんです。
2 相手の気持ちになる
プロにはまず相手がいることを認識することからはじまります。相手とはお客さまだけでなく、さまざまなステークホルダーがいます。仕入れ業者、地元住民、銀行、公的機関など、あなたのビジネスによって変わってきますね。その全ての人たちが「私に何を求めているのだろうか」を常に考える心構えと態度が必要です。もちろん、一番大切なのはお客さまです。お客さまからの入金がなくなったらビジネスは廃業です。ですから、お客さまが自分に求めているものは何なのかを、毎日毎日365日考え続けることが必要であり、プロとして生きていく場合「当たり前」のことなんです。
相手の気持ちになるコツは2つの視点を持つこと。
一つは「虫の目」。
近づいて、微に入り細に入り見る。複眼的に見ることです。とにかく細かいところまで見る視点です。飲食店の場合、テーブルの並び方からメニュー、トイレに到るまで、とにかる細かくチェックすること。お客さまが来店した時の視線の動きのイメージです。そんなに細かいところまで必要ないんじゃないの?それはあなたが決めることではなくお客さま最終的に決めること。なので、想像力を働かせいつも「もっともっと」を追求することです。
もう一つは「鳥の目」。
ものごとを高い位置から俯瞰して全体を見渡すことです。「細かいところはいいけど、全体的になってない」という事業。ありますよね。この視点が欠けているんです。自分のビジネスのポジショニングと考えてもいいと思います。競合がひしめいているところに出ているためにコストをかけても目立たないという状況になっていないか?あるいは競合はいないけど、お客さまのニーズにないところに進出しようとしていないか、などの視点となります。お客さまが「こんなサービスあればいいのになぁ」と思う気持ちの時に「沢山ありすぎてよくわかない」という場所でひたすら待つのはNG。そもそもお客様が「こんなサービスあればなぁ」と絶対に思わないところに罠を仕掛けるのも同様にNGなのです。
そして、もう一つ。これは相手の気持ちになるというよりも、経営者の視点として持つべき「魚の目」です。
あらゆるものは時代や経済、人の心の流れを無視して成功することはできません。この流れを無視してスタートしても「そのうち息が切れる」か「小さいままの事業」の状態を抜け出すことはできません。潮の流れ、そして流れが変わる予兆をも感じ取るようなセンサーが必要となってきます。こんな視点が「魚の目」です。
いずれも自分だけの「思い込み」でものごとを進めないということですね。
3 徹底したこだわり
そして「これでもかっ!」ってぐらいのこだわりです。ラーメン屋だって寿司屋だって美味いだけじゃだめ。いつも行きたくなるような、そして遠くても行きたくなるようなプラスαの仕掛けが必要です。「とびきりの笑顔」の研究をするとか、来るといつも予想以上の何かをしてくれるとかです。プロとしてやるからには、常に相手に勝たなければなりません。日本でもアメリカでもトップ20%の人が業界売上の80%を取っていたと言われていました。しかし、Winner takes all.(勝者が全てを取る)の現象がますます進んでいるのを目の当たりすると、もはや中間は存在せず、少数の勝者と多数の敗者の二極化構造がより進んできたと言わざるを得ません。
こだわりはお客さまとの接点を3つの時間軸でみていくことです。
一つは、現場でのサービスのこだわり。
飲食店であれば味やサービス、そして店内の快適さに関するこだわりです。お店を介さない商売でも同じです。サービスを提供する瞬間のクオリティへのこだわりです。これは基本中の基本。ここが商売の本丸ですから。
しかし、これだけやっててもダメです。
もう一つは動線のこだわり。
あなたの店やサービス提供場所にお客さまが来るまでの動線です。どのようにお客さまがあなたのところに来るのかを考え抜くことです。寿司屋は味を一流にして店内に最高の配慮をすることはもちろんのこと、店に来てもらえるようにその動線にも配慮していること。これがプロとしてのこだわりです。周辺も清潔にする、サインを立てる、ウェブ上で写真の案内をつけるなど、やり方はそれぞれですが。
最後にアフターケアのこだわり。
商品やサービスを提供した後の気遣いです。多くの商売は一回こっきりのお客さんの集合体では成り立ちません。リピートしてもらうことで利益が上がっていくもの。そのリピートする気にさせるものがアフターケア。当然店内やサービス提供時の満足度が高いというのが前提です。アフターケアも「いかに追加でお金を払ってもらうか」ではなく「あなたがいかにお客さまのことを本当に気にしているか」という点が大事です。フリではなく本当の気遣いが必要なのです。そういったことは言われた方も感じるものですから。
以上がプロとして生きていくために必要なことです。
覚悟を決める。相手の気持ちになって提供するサービスを考えること。そして、徹底ししたこだわりです。執着と言っていいほどこだわり抜くことです。
ではまた