カテゴリ:マーケティング基礎 / 中小企業経営 想定読了時間:約6分
はじめに:「何から手をつければいいかわからない」
マーケティングを強化したい。でも何から始めればいいかわからない。
この悩みを持つ中小企業の経営者は多い。セミナーに参加してみる、SNSを始めてみる、広告を出してみる——しかし成果につながらず、「マーケティングは難しい」「うちには合わない」という結論に至る。
問題はマーケティングが難しいことではない。順序を間違えていることだ。
マーケティングには、やるべきことに順序がある。土台なしに施策を積み上げても、効果は出ない。逆に言えば、正しい順序で進めれば、大きな予算がなくても成果を出すことができる。
まず理解しておくべきこと:マーケティングは「広告」ではない
多くの経営者がマーケティングを「広告を出すこと」と同義に捉えている。これが最初のつまずきだ。
マーケティングとは、顧客から選ばれる理由をつくり、それを伝え続けるプロセス全体のことだ。広告はその一部に過ぎない。
選ばれる理由が明確でないまま広告を出しても、お金が消えるだけだ。逆に選ばれる理由が明確であれば、口コミだけでも顧客が集まることがある。
では、何から始めるか。
ステップ1:「誰に売るか」を決める
最初にやるべきことは、ターゲット顧客を具体的に定義することだ。
「中小企業全般」「30〜50代の経営者」——こうした定義は広すぎる。マーケティングで成果を出すには、特定の一人を鮮明にイメージできるレベルまで絞り込む必要がある。
たとえば「従業員10〜30名の製造業2代目経営者で、先代から引き継いだ販路に限界を感じ、デジタルに挑戦したいが何から始めればいいかわからない人」。ここまで具体的になると、メッセージが変わる。使う媒体が変わる。訴求するポイントが変わる。
ターゲットを絞ることへの抵抗感はよくわかる。「客を絞ったら売上が減るのでは」という不安だ。しかし現実は逆だ。絞るほど、刺さるメッセージが書けるようになり、共感を得やすくなる。
この段階でやること:
- 既存顧客の中で「最も満足度が高かった」「最もリピートしてくれた」顧客を3〜5社(人)ピックアップする
- その共通点を書き出す(業種、規模、担当者の役職、抱えていた課題)
- そのプロフィールがターゲットの原型になる
ステップ2:「何を提供しているか」ではなく「何を解決しているか」を言語化する
ターゲットが決まったら、次は自社の「提供価値」を言語化する。
ここで多くの経営者が陥るのは、スペックを説明しすぎることだ。
「20年の実績があります」「〇〇の技術を持っています」——これらは会社側の視点だ。顧客が知りたいのは「それが自分のどんな問題を解決してくれるのか」だ。
言語化のコツは、顧客の「悩みの言葉」を起点にすることだ。自社サービスの説明から始めるのではなく、顧客が抱えている不満・不安・不便から始める。そこに自分たちがどう応えられるかを対応させていく。
この段階でやること:
- 「お客様はなぜあなたから買っているのか」を顧客に直接聞いてみる
- 競合ではなくあなたを選んだ理由を3つ書き出す
- その言葉を使って「私たちは〇〇に悩む△△のために、□□を提供しています」という一文を作る
ステップ3:「どこで伝えるか」を一つに絞る
ターゲットと提供価値が定まったら、ようやく「どこで伝えるか」の話になる。
ここでよくある失敗が、全部同時に始めようとすることだ。ホームページを作り直し、SNSも始め、メルマガも配信し、広告も出す——リソースが分散して、どれも中途半端になる。
正しいアプローチは、ターゲット顧客がどこで情報収集しているかを考え、そこに集中することだ。
B2B中小企業であれば、多くの場合はGoogleでの検索が主な情報収集手段だ。この場合、SEOブログが有効な施策になる。B2Cや認知拡大が目的であればSNSが適している。既存顧客へのリピート促進であれば、メールやLINEの方が効率的だ。
この段階でやること:
- 「ターゲット顧客はどこで情報を探しているか」を考える
- 施策を一つ選び、3ヶ月間集中する
- 効果を測定してから次の施策を追加する
まとめ:順序を守れば、マーケティングはシンプルになる
中小企業がマーケティングを始めるときに必要なのは、大きな予算でも最新のツールでもない。
- 誰に売るかを具体的に定める
- 何を解決しているかを顧客の言葉で言語化する
- どこで伝えるかを一つに絞って集中する
この3つを順番に積み上げることで、施策の効果が出やすくなる。逆にこの土台なしに施策を積み上げても、成果は出にくい。
「マーケティングは難しい」という感覚は、多くの場合、順序を間違えたことによる挫折経験から来ている。正しい順序で始めれば、中小企業でも着実に成果を出せる。
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