サッカーW杯。アメリカが参加していないためこちらではテレビでの放送もほとんどありません。近くのスポーツバーに行ってもやっているのは、いつも通りのバスケットや野球中継。それもいいけど、TVモニターこんなに置いてるんだから一つぐらいサッカーにしろよ!と思いつつ、近所の人たちとの会話にもなかなか話題として上がってこないW杯ですが、ひとり盛り上がっております。
世界一を争うスポーツ競技を観て、いつも思うのが一流の選手の高い「メンタル」の力です。そのレベルになると選手の身体能力やスキル、そして体力の違いはそこまで大きくないはずです。それを考えると、最終的な勝敗はメンタルによって決まると言っても過言でないかもしれません。チームスポーツの場合は、チームのメンタル力の総量、そして勝敗を決めるポイントでのキープレイヤーのメンタル力かもしれません。
普通だったら「こんなことになったら凹むだろう」とか「このピンチでこの難易度高すぎっ!」とか「ここで決められないと負けが決まる。しかもこの場面、自分ひとりの1回のパフォーマンスに全てがかかってる!」と心の弱さが出てきて当然という場面。サポーターの期待に応えて、いやさらに、それ以上の結果を出すことも、日頃の練習による技術という基盤の上に強いメンタルがあるからに他なりません。
セネガル戦を終えた日本選手のコメントを見てもメンタルの強さが印象的です。
- 乾選手「最近の試合でも決めていた得意の形でゴールを決めることができた。思い切って打った結果だ」→この重圧の中、メンタルの力が強くなければ「思い切って」できません。
- 本田選手「すごくよいボールが来て、決められていなければ負けるかもしれない場面だったので、決めることができてよかった」→「決められなければ負けるかも」と超が付くほどの重要性を認識した上でのハイ・パフォーマンス。
- 香川選手「きょうの試合に向けて前の試合から改善できることはできた。試合を支配することはできたが勝ち切るということができなかった。次の試合、最後で得点を取り切るということをしていきたい。次の試合に向けて時間はないが修正したい」→分析と反省をした上で「肯定的な想い」を次の試合に向けて乗せている。
- 長友選手「セネガルのスピードはトップクラスで、これからビッグクラブに行くようなすばらしい選手たちだったが、日本が最後まで諦めず、最後に同点にできたのはよかったと思う」→強い相手に対しても最後まで諦めない。「言うは易し・・・」それを実行できたのが本当に凄い。メンタルで体が動いたのでしょう。
自分への制限。多くの場合、これが「できる」を阻んでいます。なので、この制限を取り除くことが必要です。
制限とは何かと言うと「できないかもしれない」「こんな自分には無理」「学歴ないから・・」「見てくれ良くないから・・」という自分が自分に発する言葉です。人は重要な場面や人生のフェーズが変わる時、この否定的な考えが出て来ます。これ普通のことです。ポジティブと言われている人はこれを瞬間的に無意識で外しているです。この制限を外すことはスポーツだけでなくあらゆる場面に有効です。
では一体、制限はどのようにした外すことが出来るのか?
一つが外部からの影響です。
会社員の人は同じ部署の人、日頃会う回数の多い友人・知人、しょっちゅう一緒にいる恋人、そして勿論一緒に暮らしている家族など。これからの人の発言や考え方は知らず知らずのうちに伝染しています。そしてその考え方があたかも「自分の考え方」のように自分の内側に浸透していきます。これがいつも明るくポジティブなものであったらいいのですが、そうとは限りません。「できない」という制限を外す、あるいは、制限に囚われないようにするには、できるだけポジティブな人たち、何かにつけてものごとを前向きに見る傾向のある人たちと時間を過ごすべきです。
社内の人が否定的な考えばかり言う人だったら?これは変えられないので、その人たちに囲まれている時は「そういう考え方をする人も世の中にはいるんだな」と自分と距離を置いて客観的に見ておくこと。そして仕事が終わったら、そういう人たちと出来る限り一緒にいないことです。これは意識的にできることだから、やろうと思えばできますよね。
もう一つが「いい思い込みを作る」です。
「自分に都合のよい勘違い」と言ってもいいかもしれません。何が起きても「ああ、良かった」、たとえ悪いことが起きても「この程度で済んでわたしはラッキー!」と思うこと。なんだかバカみたいに聞こえるかもしれません。しかし、そう思うこと、それ自体が自分との対話。自分自身に「自分のこの状況はラッキー」と思い込ませることで本当にそんな気持ちになるから不思議です。これも意識的にできますよね。そして習慣化することをお勧めします。なんでもラッキーと思えるようになるコツは「究極のアンラッキー」比べることです。その場面で考えうる「究極のアンラッキー」とです。
さらに成功体験の積み重ねです。
小刻みに目標設定をして小さな成功体験を得る。それによって達成感という感覚を手に入れることができます。小さいながらも成功体験やそれに伴う達成感を味わうと「できないかも」という制限を取り除くことができます。というか、それを忘れてしまうと言う方が感覚的には近いかもしれません。
そして、小さな成功体験を積み重ね、達成感を何度も味わうことによって自己肯定感が上がっていきます。自己肯定感が少し上がれば、それまで「無理だろうな」と思ってやりもしなかったことに挑戦するようになります。挑戦と言っても一気に富士山を登るようなことではありません。本当に小さな挑戦です。いままで苦手意識が強くて話しかけられなかった人に会釈してみるとか、資格取得のために申し込みをしてみるとかです。その小さなチャレンジのサイクルが回りはじめると、どんどん「できる!」という気持ちが心の中で大きなシェアを占めてさらなる行動につながるのです。そこまで行ったら、ちょっとした「できないかも」は気にならない自分になっているはずです。
最後に「フリをする」です。
まだできないうちから「できるフリをする」こと。できないからフリなのですが。とにかく出来るフリをする、出来ている人のマネをする、徹底的にロールモデルとなる人と同じことをやること。これが結構いいんです。
私の先輩で30代そこそこから自らを「本部長」と名乗り、周囲にもそう呼ばせていた人がいました。「芸能人だって芸名があるんだから、サラリーマンだってあっていいんじゃない」って最初は遊びでやっていたのでしょう。でも段々と(割と仲の良い)周囲の人たちからは普通に「本部長」と呼ばれるようになり、自分もメールなどで差出人として〇〇本部長と書くようになりました。バカバカしいと思いますよね?でも、その方はおよそ20年後、本当に一部上場企業の本部長になりました。どんな会社だいっ?って思うかもしれません。ポイントはそこじゃないんです。要は「なりきる」ことが「本当にそうなる」ためにいかに重要かというところなんですね、言いたかったことは。
ということで、W杯や五輪を観るといつも思ってしまうメンタルの強さ。改めて考えて見ました。
ではまた
赤羽 まこと